【ネタバレ】映画『メイクアガール』の謎を解決したい【第三人類とは?】

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こんばんは、なつわです。こちらの湯では、2025年1月31日に公開された、安田現象監督のデビュー作となる長編アニメーション映画『メイクアガール』について、

  • 主人公・明の言動にモヤモヤする!
  • 第三人類って、どゆこと?
  • ラストシーンの解釈が分からん…

といった疑問や謎を解消すべく、めいっっぱい頑張って考察をする、という内容になっております。

ネタバレを含みますので、未視聴の方は是非とも、ご鑑賞後に本文をお読みください!

それではさっそくまいりましょう。

『メイクアガール』あらすじ

予告動画

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

メイクアガール』は、天才的な頭脳を持つ科学少年・水溜明(みずたまり あきら、CV:堀江瞬)が、人工的に「彼女」を作り出すところから始まる、サイバー×ラブ×サスペンス作品です。

科学的に作られたカノジョである「0号(CV:種崎敦美)」が、自らの中に湧く恋愛感情に葛藤しながら、自分を見つけていき、研究に没頭する明は「愛」の意味を知っていく…というストーリー展開です。

個人制作のショートアニメ投稿で国内外から絶大な支持を受ける安田現象さんが、クラウドファンディングを経て初挑戦した劇場アニメということで、映像表現のセンスは素晴らしいものがありました。

ストーリーについては、独特の世界観や、後半のスピーディーな展開に、やや置いていかれる方もいたのではないでしょうか。単純ではない、何層にも重なった物語の深みに気づくと、この作品の魅力がより実感できると思います。

それでは、いくつかのテーマに分けながら解説、そして感想、さらには妄想…といった具合に書き連ねさせていただきます!

『メイクアガール』3つの謎

謎1「結局どういう話なんですか」

いきなり直球…。はい、まずは、そもそも論である「この作品、どういう話?」という謎から紐解いていきましょう。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

何よりも先に定義しておかなければいけないのが、

主人公・水溜明は人間ではない

という事実です。

事実、といっても作品内で明確に描写されているわけではないのですが、

  • 0号にナイフで刺された際、赤い血ではなく黒いオイルのような液体が出ていた。
  • ラボ内で、ソルトに与えられた電気ショックによって母との記憶がフラッシュバックした。さらには記憶の中で母のプログラムと会話をしていた(=明の脳が何らかの電子的な機能を有することの示唆)。
  • 「ラボ内で裸でうずくまる幼少期・明」が描写されている(=通常人間は新生児の姿で生まれるが、明は「幼児の姿」で誕生した)。
  • 人間らしからぬ言動(ここ大事!他人との関わりについて知識と経験が著しく乏しい)

といったことから、「明は人造人間」と考えて間違いないと思います。
逆にいうと、前半の0号へのそっけない態度とか、社会に溶け込めない奇天烈な言動とか…多くの観客が「何やねんこいつ!」と思ってしまうような描写は、「人造人間である」という事実でしか救えないのです(笑)

明を助けるため、と思って、ここはひとつこの仮説を信じていただきたいと思います。さて、そこから導き出されるこの物語の中核は、

「母(稲葉)によって作られた人造人間・明が、母の意志(というかプログラム?)を受け継ぎ研究に没頭し、母のコピーとなる「0号」を作り出し、最終的に母が復活する

となります。

なつわ
なつわ

ちょっとメタ的な話ですが、0号が母のコピーであることは、エンドロールで初めて明示される「稲葉の声の担当も種崎敦美さん(0号役)だった」という事実からも分かるんですよねぇ。

さて、少々大雑把ですが、物語の芯が分かったところで、次の謎に進みましょう!

謎2「第三人類って?第二もあるの?」

続いての疑問は、「“第三人類”って何?」です。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

「第三人類」―と聞いた時、こんな疑問を持った方がいるかもしれません。

第二人類もいるの?

…はい、いるはずです。いてくれないと困ります(笑)

そこで、「第二人類って誰なんだろう」について、ここでは2つの説を検証してみます。

説(1)水溜明

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

客観的に考えると、この説が最有力でしょうね…。これは、作品内で「明と0号の性能差」が明確に描写されている点が根拠になっています。たとえばこんな感じ。

  • 0号は、明にできないことを数多く習得した。(料理、他者とのコミュニケーション、アルバイトなど)
  • 「(0号は)いつの間にか自分の前を歩いていた」という明のセリフ。

この説に立つと、ラストでヒールを演じた「海中 絵里(うみなか えり、CV:花澤香菜)」が、なぜ0号を狙ったのかが分かりますね。なぜなら、母から託されたメモリディスクは「空っぽ」であり、情報は明の脳内メモリに格納されているにもかかわらず、絵里は明ではなく0号を攫うわけです。
これはつまり、「0号(=第三人類)」より劣る「明(=第二人類)」は、脳内を覗いたところで格納されたデータの解析は行えない、ということだと思いました。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

0号を誘拐した絵里が、嬉々として「あなたは第三人類なのよ」と言って0号を解析しようとしていたことから、「パソコンのモニタを盗み見ても(明を解析しても)必要な情報は得られないが、0号だけは特別」というニュアンスを感じ取ることができます。

説(2)水溜稲葉(母)

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

これは若干飛躍した説かもしれませんが…。「稲葉も人造人間なんじゃないの?」という仮説です。

根拠は弱いのですが、稲葉がラボ内で死亡するシーンで、コーヒーなのか血液(オイル)なのか判別が難しい描写があり、それが、稲葉が人造人間である示唆に見えたんです。

仮にそうだとすると、稲葉は「不完全な人造人間」あるいは「失敗作」ということになるかもしれないですね。なぜなら稲葉は短命で、志半ばで死んでしまったからです。

稲葉の悲願は、完全な人造人間をつくることで、それは0号の誕生で果たされたということでしょうか…。

謎3「陰謀論」

さぁて、ここからは妄想全開、限界ギリギリの無謀な解説を繰り広げていきたいと思います。ぜひ、「それはないやろ」と笑い飛ばしながら読み飛ばしてください(いや読み飛ばさないで!)。

陰謀論①友人たちも稲葉のプログラム説

ここでは、明のクラスメイト達が、実は稲葉の思惑通りに行動しているのではないか?という大変勝手な仮説を打ち立て、その可能性を検証していきたいと思います。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト
①-1:やたら世話を焼く男友達「大林 邦人(おおばやし くにひと、CV:増田俊樹)」

まずはこの方、クニヒト君ですね。冒頭から明の良き理解者として登場し、彼女自慢をすることで、明が0号を作ることになるきっかけを与えた重要参考(あ、間違った)…重要人物でもあります。

彼がいなければ本作の物語は成立していないことから考えると、もうクニヒト君を「ただの友達」として見ることなんてできないんですよね。彼がもし、明の働きを補完するために母・稲葉が作った人造人間だとしたら…さあ、壮大な陰謀論の始まりです。

①-2:お目付役な女友達「幸村 茜(さちむら あかね、CV:雨宮 天)」

というわけで、友人シリーズ二人目です。

茜さんは、自由奔放な明をいつも叱り、明へのほのかな恋心も滲ませている愛らしい存在として描かれています。

クニヒト君が「明に道を示す役」だと仮定すると、茜さんは「全体的な調整役」といったところになるでしょうか。時には明の手綱を握ろうとし、0号誕生後は彼女の成長をサポートしていたりと、その働きぶりはまさにコーデネーター!
彼女もまた、「稲葉復活プロジェクト(勝手に命名)」に欠かせない存在なのです。

友人2人のセリフから本説を補強する。

作中で、明が0号を作り初めて一緒に学校に行った時のことです。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

茜さんは「今さら明が人間を作ろうが驚かないわ」という趣旨の供述(供述て)をされています。この時のクニヒト君のあっさりとした態度も鑑みると、二人は人造人間の技術を元々知っていた、と考えるのが自然です。

また、これは個人的に一番引っかかった部分でもあるのですが、「第三人類」という単語が初めて発せられるのは、クニヒト君の口からなんです。

これが単に、クニヒト君の中学二年生的思いつきワードであれば、大した問題じゃあないんです。これが大変なのは、「第三人類」という言葉が、0号を拉致した際の絵里の口からも語られているからなんですよ。

これには2つの可能性が考えられます。ひとつは、「第三人類」という概念は既に世間に広く知られていて、「もしも作れたらすごいねー」くらいの認識を人々が持っているというパターン。

そして二つ目は、…もうお分かりですね?クニヒト君がサイエンティスト稲葉に作られたから、というパターンです。恐ろしいことに、この仮説に立つとすべての辻褄が合ってしまうのです。つまり、「第三人類」は稲葉が目指していた研究テーマであり、クニヒトと絵里がそれぞれその言葉を知っているのは、ごくごく自然ということになりますよね。
そしてクニヒトの使命は、その第三人類を明に作らせるため、彼を焚き付けることだったんでしょう。仮にクニヒト君が人造人間でないとしても、稲葉と何らかの繋がりはある、と信じています。

なつわ
なつわ

クニヒトって、『トゥルーマン・ショー』でいうマーロンみたいな存在だなぁ…(お分かり頂けた方すごい)。

陰謀論②おじさん父親説

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

明がおじさんと呼ぶ「高峰 庄一(たかみね しょういち、CV:上田燿司)」は、稲葉の元研究仲間で、稲葉の死後に施設に預けられた明を引き取った、保護者的ポジションの人物です。そのため、明との血縁関係はないことになっています。

しかし、わたくし、このオジサマ、明の誕生に一枚噛んでるような気がしてならないのです。明は0号と同じ製造方法で作られたのなら、細胞を培養して人間の姿に形成されているはずです。

0号の製造シーンでも明確にされてはいませんでしたが、最初の細胞を作るために、おそらく元となるDNAが必要だと思うのです。私は、おじさんと明がやけに似ているような気がするのです。顔つきや髪型だけでなく、研究以外のことが疎かになる感じとか…。

庄一さん、あなた、DNA提供してるでしょ?

陰謀論③明は「繋ぎ」説

ラストシーンでは、母の人格が乗り移り研究に没頭する0号が描かれていました。それを象徴するように、眠りから覚めた0号が明に言った一言は、「おかえり」でしたね。

状況的に考えて、0号はずっとベッドで眠っていて久し振りにラボに行ったわけなので、「ただいま」と言うのが普通ですよね。
百歩譲って、母・稲葉が自分のコピーである0号に乗り移り、ようやく息子に会えたということであれば、これもやはり「ただいま」を言うべきです。

しかし0号言ったのは「おかえり」でした。その真意は、稲葉は(データという形で)ラボ内にずっと居たということであり、「生前の稲葉」「データ状態の稲葉」「0号に移植された稲葉」のすべてが、全く同一の稲葉自身であるということだと思います。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

さあ、こうなってくると話がだんだん物騒になって参ります。

不完全な体であった稲葉は、より完全な体を作ろうと研究を重ねた。しかし最終目標である「第三人類」を作るには、自分に残された時間は足りないと悟る。そのため、急ごしらえで「人造息子」つまり明を作り、自身の研究を引き継がせた。

慌てて作ったからであろうか、明の精神は不完全で、人間性のやや欠けた仕上がりになってしまった。しかしそれは稲葉にとっては大きな問題ではなかった。なぜなら、明に与えた使命は、「第三人類」を作ることだけだったから…。

このことを見事に裏付けるシーンが、クライマックスで差し込まれていました。

トンネルでの「明めった刺し事件」です。(あのシーン怖かった…)

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

稲葉および明が発明したロボットには、「明を傷つけようとすると自身を破壊する」プログラムが仕込まれています。0号は自分の意志を証明するためにそれに抗うわけですが、制御プログラムが発動し、とても苦しそうにしていましたね。この時、データ状態の稲葉が0号の腕を掴み制止しようとしました。

皆さんに質問です。この時の稲葉が放った言葉、おかしいと思いませんでした…?

私は恐ろしく違和感を感じました。稲葉は、「だめ、これ以上は、あなたが壊れてしまう」と言っていました(記憶違いだったら盛大にごめんなさい)。

…いやいやいやいや!0号の心配する前に、息子さん大変なことになってますよ???

腕が引きちぎれ血まみれになる息子を無視して、稲葉が救おうとしていたのは0号だった

この決定的な事実が、「明は稲葉のコピーを作るための道具でしかなかった」という仮説を裏付けてしまっているのですよね…。作中で明が言っていた「(稲葉は)化け物なんだ」という言葉は、本作のすべてを表していると言っていいでしょう。

まとめ

ここまで解説(というか半分以上妄想)させて頂きました『メイクアガール』は、母・稲葉の視点に立ち全体を俯瞰することで、狂気に満ちた壮絶なストーリーであることが分かりました。

安田現象さんの劇場デビュー作品ということもあり、クリエイターとしてやりたいことを詰め込んだ良作だったと思います。誤解を恐れず言えば、稲葉の狂気は、安田さんのクリエイター魂の具現化だったのかもしれませんね。

©安田現象 /Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

そして、0号はかわいい(急に薄っぺらくなる感想)。

この作品の魅力がさらにたくさんの人に伝わるといいなと思い、こちらの記事を書かせていただきました。

Eveさん主題歌の歌詞付PV

©安田現象/Xenotoon・メイクアガールプロジェクト

『メイクアガール』作品情報

CAST
0号:種﨑敦美
水溜 明:堀江 瞬  
大林 邦人:増田俊樹
幸村 茜:雨宮 天
海中 絵里:花澤香菜
高峰 庄一:上田燿司
水溜 明(幼少期):日向未南  
STAFF
原作・脚本・監督:安田現象 
絵コンテ・演出:安田現象
CG監督:安田現象
音響ディレクター:今泉雄一
音響効果:上野励
音響制作:ソニルード
音楽:末廣健一郎
配給:角川ANIMATION
アニメーション制作:安田現象スタジオ by Xenotoon
製作:メイクアガールプロジェクト 
主題歌:Eve「花星」(TOY’S FACTORY)

長い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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